では、具体的に何をすれば腸内細菌のバランスを整えることができるのでしょうか。
一般的に効果的とされているのを紹介していきますね。
(1)食事で腸活
発酵食品などの善玉菌を含む食品(プロバイオティクス)を積極的にとって善玉菌の量を増やしたり、
すでに腸内にいる善玉菌のエサとなる食品(プレバイオティクス)をとったりする方法です。
① 「プロバイオティクス」が含まれる食品で善玉菌を摂る
「プロバイオティクス」とは、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の
健康に好影響を与える生きた微生物」と定義されており(Fuller(1989))、
乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌が含まれてます。
【代表的なプロバイオティクスと含有食品】
〇 乳酸菌・・・味噌、キムチ、チーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料
〇 ビフィズス菌・・・ヨーグルト
〇 納豆菌・・・納豆
〇 酪酸菌・・・ぬか漬け
〇 麹菌・・・甘酒・麹
【各プロバイオティクスの働き】
【参考】厚生労働省 e-ヘルスネット
生きた善玉菌であるプロバイオティクス食品を食べることで、腸内に善玉菌を補うことができます。
ただし、生きた微生物といっても、
市販の食品は製造の段階で加熱殺菌されているものが多いので、
全ての菌が生きたまま腸に届くわけではありません。
しかし、
死んだ菌も他の善玉菌のエサになり、
腸内環境の改善に役立ってくれます。
② 「プレバイオティクス」が含まれる食品で善玉菌を育てる
「プレバイオティクス」とは、オリゴ糖や食物繊維などの善玉菌のエサとなる食品のことです。
野菜や果物、穀類を中心とした食材に含まれています。
大腸で腸内細菌はオリゴ糖や食物繊維などを発酵し、
短鎖脂肪酸を生成するといわれています。
この短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性の環境にし、
有害な菌の増殖を抑えるなど、健康な生活に欠かせません。
また、
食物繊維は小腸で消化・吸収されずに、
大腸まで達し、おなかの調子を整えます。
食物繊維には、水溶性と不溶性の2種類があります。
【代表的なプレバイオティクスと含有食品】
〇 レジスタントスターチ・・・冷えたご飯、ポテトサラダ、冷製パスタ
〇 水溶性食物繊維・・・海藻類、フルーツ、ネバネバ食品(なめこ・オクラ・めかぶ)
〇 不溶性食物繊維・・・納豆、根菜類、穀類
〇 オリゴ糖・・・アスパラ、ニンニク、バナナ、はちみつ、大豆食品、ねぎ、玉ねぎ
【各プレバイオティクスの働き】
【参考】厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020 年版)、e-ヘルスネット
食事から摂取したプロバイオティクスやプレバイオティクスは、
便として排泄されてしまうため、腸内に定着させておくことはできません。
良い腸内環境を保つには、毎日の食事からコツコツ摂取することが大切です。
また、「プロバイオティクス」と「プレバイオティクス」を組み合わせて摂取することを「シンバイオティクス」といいます。
両方の食材を組み合わせて摂取することで、腸内環境の改善により高い効果が期待できます。
ただ、
無理にすべてを善玉菌を増やす食品に変えるのは意外と大変で、
かえって続かなくなるので、
毎日の食事のなかに1品でも取り入れるのがおすすめです。
(2)運動で腸活
運動不足や加齢などによって、腸の弾力性が失われると、
蠕動(ぜんどう)と呼ばれる動きが鈍くなり、
便を排出する力の低下など不調も起きやすくなります。
腸の周囲の筋肉を刺激する適度な運動を行い、
便を排出する、腸のぜんどう運動を促しましょう。
また、腸の動きには自律神経が関わっています。
自律神経は体の機能をコントロールする神経のことで、
体と心を活動的にする交感神経と、
リラックスさせる副交感神経がバランスを取りながら私たちの体を支えています。
腸の動きは、
副交感神経が優位なときに活発になり、
交感神経が優位なときには鈍くなります。
ちなみに交感神経は、
集中している時やストレスを感じている時に優位になるので、
リラックスできるような適度な運動でバランスをとるようにしましょう。
但し、
ハードなな運動はストレスを感じて副交感神経が抑制されてしまうので、
ウォーキングやストレッチなど軽めの運動が効果的です。
【腸活におススメな運動】
〇 1日30分~90分程度(5000〜10000歩程度)の軽いウォーキングです。
ポイントは姿勢を真っ直ぐに保ち、
大股で膝が自然と伸びているのを意識して歩くと、
便を押し出す腸腰筋を鍛えることができます。
1回でこれだけ歩くのは大変なので体力的にきつい人は、
例えば朝と夕方に分けるなど工夫すると良いでしょう。
〇 エクササイズ
椅子に座ったまま、
片方ずつ足を上げたり足踏みをしたりなどの運動を、
10回1セットを定期的に行うだけでも腸腰筋の良い刺激を与えられます。
椅子に座った状態で、おなかをひねったり伸ばしたりするのも効果的です。
〇 マッサージ
・ おなか周りを両手でもみ腸に直接刺激を与え腸の動きが活発化させる
・ 足指マッサージ 足の指をつかんで前後に10回動かします。
さらに指1本1本10回ずつ回しますこれだけで身体は驚くほど柔らかくなり、
前屈もしやすくなりますよ。
(3)睡眠で腸活
腸の働きを活発にする副交感神経は、
リラックスしているときや睡眠時に優位になります。
そのため、腸内環境を改善するためには、
良質な睡眠が欠かせません。
① 睡眠の質を上げる方法
〇 副交感神経は、午前0時頃にもっとも高まるといわれています。
そのため、腸の活動を促すには、夜は午前0時頃までには就寝するのが理想です。
〇 毎朝同じ時間に起床して朝日を浴びるようにしましょう。
脳を目覚めさせるためには光をあびることが大切です。
朝日に限らずLEDライトなどの明かりでも良いですよ。
〇 寝る30分から1時間前に心拍数を上げない程度の軽い運動を行う。
ヨガとかストレッチがおススメです。
〇 起床時に白湯を飲む
朝起きたらコップ1杯の白湯を飲んで、腸に刺激を与えましょう。
白湯を飲むことで、消化管が刺激され活動のスイッチを入れることができます。
腸内が水分不足になると、悪玉菌が増えて腸内環境が悪化したり、
自律神経が乱れて腸のぜん動運動が弱まったりする恐れがあるので、
水分補給はこまめにすることが大切です。
② 睡眠の質を下げること
〇 寝前にスマホやパソコンは使わない
ブルーライトは脳に刺激を与えて眠りにくくします
〇 就寝前の寝酒・喫煙・カフェインは避ける
お酒には一時的な入眠作用があるため、
寝つきが悪いときに寝酒を飲む人もいますが、
アルコールの入眠作用は3時間程度です。
さらに、アルコールの利尿作用や、
アルコールが代謝されたときに発生するアセトアルデヒドの覚醒作用によって、
睡眠の質は著しく低下してしまいます。
また、タバコに含まれるニコチンやコーヒー、
緑茶などに含まれるカフェインにも覚醒作用があるので、
就寝前の寝酒・喫煙・カフェインの摂取は避けるようにしましょう。
〇 ダラダラ寝
明かりをつけたまま寝たり起きたりを繰り返していると快眠は得られません。
電気は消して寝ましょう。
〇 寝る直前の入浴
お風呂で身体を温めて体温を上げ、
汗が引いたところで布団に入ると眠りにつきやすくなるので、
汗が引くまで待ちます。
(余談)昼寝のススメ
短時間の昼寝は脳を活性化するためにも非常に効果的です。
記憶力や意志力を高めてくれるためぜひ習慣化したいところです。
逆に、昼寝のし過ぎは逆効果です。
正午から16時の間に20~30分が適しています。
(参考:資格のキャリカレ 腸活アドバイザーテキスト)